クシュシトフ・ウディチコ(Krzysztof Wodiczko)
このあいだ、とてもうれしい偶然に出会いました。
2003年の秋に、私とユタンポはニューヨークにいる友達のお家へ遊びに行かせてもらっていたのですが、そのとき友達がInternational Center Of Photography(国際写真センター)へ連れて行ってくれたのです。
そこは、ロバートキャパの弟さんによって設立されたという写真ギャラリーでした。
英語がまったくダメな私たちに、友達がとても上手に作品を説明してくれ、それがおもしろくて夢中になって見たものでした。
そのときの企画がこれ。↓
Strangers: The First ICP Triennial of Photography and Video
http://museum.icp.org/museum/exhibitions/triennial/home/home1.html
ギャラリー内はわりに活気があって、人の話す英語が心地よく耳に入ってきていました。
そんな中で、ふと日本語が聞こえてくる方向があるのに気づきました。どうやらそれはビデオのインスタレーションをしている部屋から聞こえているようでした。
入ってみると、暗くされた室内にプロジェクターで映像が映し出されていて、日本語はその映像の中から聞こえるのでした。
映像には、ライトアップされた夜の広島の原爆ドームが映っていました。
聞こえた日本語は、原爆を経験した人たちの語りで、話しているときの手がドームの足下にあたる石塀に映し出されているのでした。ドームを人間の上半身に見立てて、ドームがしゃべっているように見せる試みだったようです。
ドームの前を流れる川の音と、被爆者の語り、ドーム、大きな手の映像。ちょっと異様な光景に私は見入ってしまいました。
3年経った今でも覚えているのは、とある年配の女性が戦後、アメリカ兵と面接しなければいけなかったとき、「原爆のおかげで、何万人もの兵士の命が助かったんだよ」というようなことを通訳を通して聞かされ、悔しさと怒りでわんわん泣いたというエピソードでした。
そのアメリカ兵の言葉は、私の頭にこびりついていて離れなくなりました。
Projection in Hiroshima —- Krzysztof Wodiczko(1999)
http://www.ufer.co.jp/ufer/wodiczko/
プロジェクション イン ヒロシマ —- クシュシトフ・ウディチコ(1999)
しかし、帰国してからもパンフレット(無料の)を大切にとっていたのですが、去年の引っ越しの際に行方不明になってしまいました。
それが最近、偶然にもいつも読んでいるある人のブログで、あのインスタレーションのことを言っているらしい文章に出会ったのです!(そのブログには、そのアーティストの新作について書かれていたのでした)
パンフレットが行方不明になってから、作品名やアーティストの名前すら調べられないなーとあきらめていたので、ありがたや‥‥!
ということで、メモ、メモ。
クシュシトフ・ウディチコ
Krzysztof Wodiczko
1943年ポーランド生れ。
NYのホームレス達への提案として、ショッピングカートをベースに移動可能なコンパクトな居住空間を発表するなど、都市やそこに住む人々が抱える様々な問題をテーマに、世界各地で作品を発表し続ける現代美術作家。